紙飛行機

久しぶりに紙飛行機を製作しました

 

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胴体はバルサ  翼はケント紙です。

 

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主翼は左右2分割で製作

 

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前縁部は立体にしてみました。

かんざし(ケント紙4層)で両翼の桁を接続しています。

 

軽く飛ばしてみましたが、もう少し上反角をつけて重心を下げると良さそうです。

2mクラスのグライダーを作る 設計編②  全機揚抗比と沈下率の計算

前回に引き続き、MINI GRAPHITEとRadina 2Mの性能を見つつ、性能の目標値を決めていきます。

 

今回は簡単のため、

クルーズモード:フラップニュートラル・L/D最大

サーマルモード:フラップダウン

の2通りのフラップ位置で解析します。

 

MINI Graphiteのマニュアル(http://f3j.in.ua/media/mini-graphite/Mini Graphite.pdf)を見ると、Distanceがニュートラルとなっているので、設計点がL/D最大になっているのでしょう。

 

フラップダウンした際の解析にはXFLRのフラップ機能を使用します。

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ヒンジラインは翼弦の75%、翼厚の10%、ダウン量は2.3°としました。

 

 

全機揚抗比

まずは全機揚抗比(=滑空比)を求めていきます。

[全機抗力] = [主翼抗力] + [その他の抗力]

だとして、主翼抗力をXFLRから、その他の抗力を適当な近似で求めます。

 

主翼以外の抗力の算出

今回はBubble Dancerの資料から主翼以外の抗力を計算します。

Charles River Radio Controllers - Mark Drela's Bubble Dancer 3m Sailplaneより全備重量31oz(約879g)でCL=0.6の時L/Dが23らしいので、

[全備重量] × [重力加速度] ÷ [揚抗比] 

で計算すると全機抗力は0.375Nとなります。

XFLRでこの時の主翼単体の性能を計算すると、機速は6.4m/s、抗力は0.340Nとなりました。今回はその差分の0.035Nを主翼以外の抗力とし、機速の2乗比例で変化させます。

 

計算結果

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 主翼取り付け角はクルーズモードで揚抗比最大になる位置にあり、サーマルモードでも迎角は変化しないと仮定して計算しているため、実際より沈下率は大きめに計算されているかと思います。

 

この数字とこのあたり(Charles River Radio Controllers - Mark Drela's Aegea 2m Glider)を見つつ、設計に入っていきます。

 

 

 

2mクラスのグライダーを作る 設計編①  既存の機体の調査

 データを集める

まず、相場を知るためにいくつか既存の機体を調べてみます。

今回参考にするのは以下の機体です。

 

①MINI GRAPHITE

http://f3j.in.ua/mini-graphite.html?#tab6

スパン[m] 1.9
翼面積[m^2] 0.358
翼型 MH32
全備重量[kg] 1.27
翼面荷重[kg/m^2] 3.55


②OMEGA 

http://www.nanmodels.com/models/omega.html

スパン[m] 2
翼面積[m^2] 0.35
翼型 NAN F3J
全備重量[kg] 1.04
翼面荷重[kg/m^2] 2.97

 

③Radina 2M

スパン[m] 2
翼面積[m^2] 0.35
翼型 NH354
全備重量[kg] 1.16
翼面荷重[kg/m^2]

3.31

 

(公式に記載が無いデータは加納さんのサイト( Kanoh's Model Sailplane Workshop)より引用させていただきました。  

 

とりあえず機速とレイノルズ数を出してみる

ここで、

空気密度:1.186 [kg/m^3]

動粘度:0.00001611 [m^2/s]

重力加速度:9.81 [m/s^2]

として揚力の式(L = 1 / 2 * ρ * CL * V^2 * S)から機速を求め、そこから空力平均翼弦長(MAC)でのレイノルズ数(Re)を計算すると以下のようになります。

 

①MINI GRAPHITE

CL 機速[m/s Re
0.3 13.98643 163584
0.4 12.1126 141667.9
0.5 10.83384 126711.6
0.6 9.8899 115671.3
0.7 9.156268 107090.9
0.8 8.564904 100174.3
0.9 8.075069 94445.25
1 7.660683 89598.63

 

②OMEGA

CL 機速[m/s Re
0.3 12.80057 139050.2
0.4 11.08562 120421
0.5 9.915276 107707.8
0.6 9.051367 98323.35
0.7 8.379938 91029.74
0.8 7.838714 85150.52
0.9 7.39041 80280.68
1 7.011159 76160.94

 

③Radina2M

CL 機速[m/s Re
0.3 13.5189 146853.4
0.4 11.70771 127178.8
0.5 10.4717 113752.2
0.6 9.559309 103841
0.7 8.8502 96138.12
0.8 8.278605 89928.98
0.9 7.805143 84785.85
1 7.404609 80434.92

 

仮にL/Dが最大になるのがCL=0.6の時とすると、9~10m/sくらいが相場でしょうか。

 

 

もう少し詳しく見てみる

MINI GRAPHITEとRadina 2Mに関しては翼型の座標データがあるので、もう少し詳細に計算してみます。 

二次元翼の解析

まずはXFLR5(http://www.xflr5.com/)で翼型の解析をしてみます。

ClとCd

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L/DとCl

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 Re*sqrt(Cl) = constで解析しています。(このあたりの話はこちらを参考にしています

Xfoil:解析:OPERルーチンを使う上でのヒント

 

三次元翼の解析

まずはウラジミールモデルの公式サイトの図面をCADに取り込んで採寸してXFLRに打ち込みます。(Radina 2Mは図面がなかったのでMINI GRAPHITEを微調整しました)

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解析するとこうなります。

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( 捩り下げは楕円循環分布になるようにつけています)

 各グラフ

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L/Dに注目してみます。

L/DとCL

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やはりCL=0.5~0.6でL/Dが最大になるようです。

横軸を速度にするとこうなります。

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 基本的にはRadinaの方が揚抗比が高いが、機速変化に対して鈍感なのはGRAPHITE、という感じでしょうか。実際のフライトでは更にフラップによる調整が入るため、性能変化はもう少し鈍感になるはずです。

 

今回はここまで。

次回は全機での揚抗比と沈下率を見ていきます。

2mクラスのグライダーを作る コンセプト

現在手元にあるRCグライダーは

・ホリデイ(製作中)

・クライム400

・Radina DLG

・Niki's Betty

・トラジ(飛ばす場所がない)

の4機。今回はBettyとトラジの間を埋める機体を作ります。

 

コンセプト

①スパンは2m以下・2分割

取り回しと保管に苦労しない範囲で大型化したいということで、競技会の2mクラスを想定します。分割無しでは邪魔ですが、3分割にしても結局胴体が場所をとるので、主翼は2分割とします。

②そこそこの強度を

普段はショックコードランチで飛ばしますが、1機で色々対応したいので

ウィンチ曳航の負荷やスロープでのランディングも想定しておきます。

③安く・作りやすく

お金がないく製作時間もあまり確保できないので、木材メインで材料費を抑えレーザー加工で時間短縮を図ります。また、1Kの一人暮らしなので出来るだけ樹脂作業は減らします。

④そこそこ設計にこだわる

せっかく人力飛行機を3機も設計したので、人力飛行機的に設計してみます。設計している間はお金をかけずに楽しむことが出来るのでお得です。

 

 

しばらくは設計しているだけですが、少しずつ書いていきたいと思います。